バイオネーター 

バイオネーター
Bionater

 1952年バルター(Balters)により考案された機能的矯正装置で、アンドレーゼンとホイップルアクチバトールより派生した装置である。本装置の特徴の1つは、アクチバトールに比較すると口蓋前方部分がないだけ小さな構造をしており、装置を装着したままの会話もでき、一日中の装着が可能である点である。バルターは、歯列の健康と正常な顎関係の維持は舌の機能空間としての口腔容積と、舌と口唇との平衡が必須条件であり、その平衡が乱れたときに歯列はゆがみ成長に悪影響を与えるとし、舌を口腔における反射活動の中心と位置づけ本装置を考案した。
治療目的
1.口唇閉鎖の確立と舌背の軟口蓋への接触
2.口腔容積の増大とその機能訓練
3.切歯の切端咬合の確立
4.下顎の前方位の達成と口腔容積の増大と舌位の改善
5.顎、舌、歯列ならびに周囲軟組織の改善。つまり顎顔面部の代謝を良好にすること 

咬合拳上板(咬合拳上床)

咬合拳上板(咬合拳上床)
Bite raising plate

 混合歯列期の過蓋咬合の治療に用いられ、主に臼歯の挺出により咬合の拳上をはかる目的に考案された装置で、過蓋咬合の動的治療終了後に拳上された咬合を保つことを目的とした保定装置としても用いられる。本装置は上顎のホーレータイプのリテーナーに類似した構造を示し、口蓋床部に下顎前歯が接する部位がレジンによって平坦に高く盛り上げられている。

咬合斜面板

咬合斜面板
Bite plane

 1877年、キングスレー(Kingsley,N.W.)は下顎の前方偏位を矯正力として利用する咬合跳躍法(junping plane)を考案した。この方法で生まれた装置が現在にいたるまで改良をつけ加えられ変化しその結果が咬合斜面板となった。本装置は上顎に装着され咬合した際に下顎を近心位に誘導するため、下顎の前歯部と接触する面は臼歯部から前歯部に向かい前勾配の傾斜構造になっている。つまり、この装置はそれ自体矯正力をもたず閉口という機能を加わることにより矯正力が生じる構造をなしている。一般的には、斜面部の角度は咬合平面に対し60°以下とし、咬合拳上は2mm以下にするのが良い結果が得られるとされている。キングスレーは発表した装置と現在の咬合斜面板は維持装置は異なるものの基本的にはまったく同じ装置であるが、現在は床よりなる可撤式のものと、舌側弧線装置を利用した固定式のものがある。

機能的顎矯正法(機能的矯正法)

機能的顎矯正法(機能的矯正法)
Functional jaw orthopedics

 1936年、デンマーク出身の矯正学者フィーゴ・アンドレーゼンとオーストリア出身の歯周病学、病理学者カール・ホイップルにより発表された矯正法で、その発祥の地からノルウェー法とも呼ばれている。本法はアンドレーゼンにより装置の考案がなされ、その矯正力の作用機序も説明されている。
 本装置は金属やゴムの弾性によって生じる矯正力とは異なり、装置自身には矯正力はなく、口腔内で固定されることなく可動性であるがため、舌や口腔周囲筋によって自由に移動し、筋活動刺激により生じた力が、装置を介して歯、歯周組織または顎に加わることにより不正咬合が矯正されるとした。しかし、この当時は新しい理論に基づく新しい装置が支持されなかった。そこで病理学的立場で本矯正法と体系づけたのがホイップルであった。ホイップルは、アクチベーターによって起こる組織変化と歯の生理的移動によって起こる組織変化には類似性があることを見いだし、さらにアンドレーゼンとともに、この方法は成長変化がまったく生理的様式で起こることと、ロウクス(Roux)の研究の“shaking the bone substance”することが骨芽細胞の活性を高め骨の増生をもたらすという発表と関連づけ機能的顎矯正法を理論づけた。これにより本法はヨーロッパ諸国に広がり可撤式装置の新たな発展に貢献した。本法を応用した機能的矯正装置の代表的な装置を下記に示す。
1.アクチバトール(アクチベータ、FKO)
2.バイオネーター
3.メッツェルダーのアクチベーター
4.エラスティックオープンアクチベーター(EOA)
5.ウッドサイドのアクチベーター
6.フレンケルの装置
7.ビムラーの可撤式装置
8.咬合斜面坂
9.咬合拳上板
10.切歯斜面板
11.リップバンパー
12.オーラルスクリーン

舌側弧線装置

舌側弧線装置
Lingual arch appliance

 1918年にムシャーン(Mershon J.V.)により考案された装置で、その後改良が加えられ、現在も広く臨床で用いられている。本装置は基本的には臼歯部に固定源を求める維持装置と歯の舌側歯頸部に位置する主線とからなり、主線と維持装置が鑞着された固定式のものと、術者により主線のみの着脱が可能な半固定式のものがある。矯正力は主線に鑞着された補助弾線により持続的矯正力として歯に与えられ主に歯列の側方拡大、前方拡大、個々の歯の移動が行われる。さらに、本装置は上記以外にも顎間固定装置の固定源や顎外固定装置との組合せで上顎の牽引にも応用されることがある。
適応症
1.軽度の叢生、捻転
2.軽度の前歯の反対咬合
3.拡大の必要な軽度の狭窄歯列弓
4.保隙
5.習癖の不良
6.唇側弧線装置との組合せによる顎間固定装置への応用
7.顎外固定装置との組合せによる上顎前方牽引
8.固定歯の加強固定の目的で、双線弧線装置への応用

フレンケルの装置(FRーII)

フレンケルの装置(FRーII)
Fränkel FR-II appliance

 フレンケル(Fränkel,R.)により考案された可撤式矯正装置であり所謂、機能的顎矯正装置の一種である。正式にはファンクション・レギュレーターと呼ばれ、適用する不正咬合の種類に応じて4種類のタイプに分類される。
 FR-IIは、機能的な力を歯、歯槽部にかけることなく、異常な筋力を排除し、咀嚼筋や口腔周囲筋などの機能訓練を行う事で萌出誘導や下顎骨の成長促進を行う装置である。

ペンデゥラム

ペンデゥラム
Pendulum

 上顎第一大臼歯の遠心移動に使われる。nitukawareru を目的とし患者さんの協力を要さない固定式装置です。
 但し、遠心移動による遠心傾斜や前歯部のアンカレッジロスによるOJの増大を考慮する必要があります。

ビムラー

ビムラー
Bimler

 この装置は機能的矯正装置と器械的矯正装置の両者の長所を取り入れたものです。
 筋の機能力を利用するという基本的な考え方に加えレジン床の一部を金属線に置き換えることにより装置そのものに弾性を与え、その反発力をも利用して歯の移動を図る目的とする装置です。

クワドへリックス

クワドヘリックス
Quad helix appliance

 この装置は4つのhelix loop からなる拡大舌側弧線装置で混合歯列から永久歯列まで幅広く使われます。
 歯列弓を拡大し、大臼歯を回転させるほか、正中口蓋縫合の離開も期待できるとされることから、緩徐拡大法と急速拡大法の中間型に分類されます。

ラピッドエクスパンジョン
+スプリング

ラピッドエクスパンジョン+スプリング
Rapid expansion+spring

 口腔内に金属線とバンドを介して装着した拡大ネジを患者さん自身若しくは保護者が1日に1/4 回転を1~2度(0,2mm~0,4mm)回転することで、正中口蓋縫合を離開させ、上顎骨歯槽基底部を拡大しこの間隙の化骨を促します。この拡大は上顎中切歯の正中離開として臨床的に確認できます。









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